資本金1円で会社設立するメリット・デメリット
2021/9/27
2021/09/27
会社法の改正によって、資本金が1円からでも会社が設立できるようになりました。しかし、1円で会社を設立して本当に大丈夫なのでしょうか? 1円会社のメリットデメリットを見ていきましょう。
1円会社とは?
1円会社とは、資本金1円で設立した株式会社のことを指します。資本金とは、会社の設立時に出資金が支払ったお金であり、会社にとっては返済の必要のないお金になります。
昔は資本金が1千万円以上でなければ株式会社を設立できませんでしたが、会社法の改正により資本金は1円でも株式会社が設立できるようになりました。
設立にかかる費用は本当に1円で済むの?
資本金1円でも会社を設立することはできますが、実際の会社設立においては他にも費用がかかります。最低、以下の3つの費用が必要です。
- 登録免許税
会社を設立する際には、法務局へ登記申請を行います。株式会社を設立する場合、登録免許税を最低150,000円納付する必要があります。
・公証人役場の費用(定款認証に関する費用)
定款とは、設立する会社の基本的な事項をまとめた書類です。自分で定款を作る場合は定款認証手数料で50,000円、定款に貼る収入印紙代が40,000円必要となります。なお、定款に貼る印紙代40,000円は、電子認証してもらうことで0円にすることができます。
- 法人印作成費用
定款の作成、銀行口座の開設の際に必要になるのが法人印です。実印、銀行印、角印の3本セットで買うことが多く、値段はピンキリですが10,000円程度で購入することができます。
以上の3つを合計すると、20万円~25万円の費用がかかります。
メリット
では、1円で会社を設立することのメリットはどのようなことがあるのでしょうか?
一番のメリットは会社を設立する資金が少なくなるため起業しやすいと言うことです。
会社を設立しなくても、個人事業主として起業することが可能ですが、会社を設立する事は起業においていくつかのメリットがあります。会社は多くの場合、個人事業主よりも信用が高くなります。そのため取引先や銀行から信用を得られやすくなったりもします。
そのメリットを最も費用をかけずに受けるために設立するのが、1円会社と言っていいでしょう。ただし、必ずしも1円会社が会社設立のメリットを受けられるかということが、これから説明するデメリットになります。
デメリット
- 銀行の口座を開設しづらい
近年、銀行の口座を開設することが難しくなってきています。
銀行の口座開設においては会社の審査があります。その際、資本金が極端に少ないと審査が通らず、銀行の普通預金口座を開設できない可能性があります。
- 取引先が不審に思うことも
資本金が1円と言う金額は、登記情報として誰でも見れるようになります。会社の住所や資本金、代表者等が誰でも閲覧できる状態になります。
資本金が1円と言うことが知られると、この会社は大丈夫かと取引先が不審に思う可能性もあります。
資本金がいくら多くても、必ずそのお金が残っているわけではありません。とは言え、資本金がその会社の規模や財務的な安定性を図る数少ない要素でもあるので、資本金が大きい方が有利になる場合が多いです。
- 銀行融資を受けにくくなる
資本金の極端な少なさは、銀行からの融資にも関係します。
融資の判断材料として、事業計画や代表者の資質等様々な要素があります。
資本金の金額は銀行が融資の審査をするための審査項目の1つになります。資本金が1円と言うことは、融資の審査に有利に働く事はないでしょう。
特に創業時に融資が受けられるかどうかは、事業がうまくいくかどうかに大きく影響してきます。融資を受ける可能性があるなら資本金1円で会社を設立することは避けた方が良いでしょう。
資本金が1千万円以上でもいけない
資本金1円での会社設立はダメだと言う話ですが、一方資本金が1千万円を以上になってしまっても問題があります。
資本金1千万円以上だと、初年度から消費税の課税業者になる
会社を設立してから2年間は原則として消費税が免除されます。しかし資本金の金額が1千万円以上だと、この消費税の免除の対象にならず、初年度から消費税が課税されてしまいます。
まとめ
資本金1円で会社を設立する事は確かにできるようになりました。しかし、1円会社には取引先や金融機関から不審に思われ、その後のビジネス展開がうまくいかない可能性が出てきます。よほど特別な理由がない限りは、1円ではなくある程度まとまった金額の資本金にした方が良いでしょう。
結局代表者がお金を出さなければならない時が来る
事業を始める以上は、その時々でお金が必要になってきます。自分がもらう生活費としての給料やものを仕入れるためのお金、事務所の家賃や通信費光熱費等の経費が毎月かかってきます。1円会社を作った場合には、会社にはほとんどお金はありませんから、支払いのためにどこからかお金を用意しなければなりません。そうすると結局代表者がお金を用意することになります。そうであればあらかじめ代表者が資本金でお金を用意しておきましょう。
一般的には1百万円から3百万円で設立することが多いです。この金額を目安に、ご自身の事業で必要な資金を考慮して決定しましょう。