もったいない!会社設立費用を正しく経費処理して得しよう!

2022/2/22

2022/02/22

この記事の監修

ALBA税理法人 代表社員(公認会計士・税理士)林 大樹(はやし ひろき)

1980年6月生まれ
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。

はじめに

会社の設立前にかかった費用は会社の経費にならないと思っていませんか?
会社設立費用を正しく処理して節税対策として活用しましょう。

創立費、開業費とは

会社設立費用は、大きく二つに分けられます。
設立準備段階から設立登記までに使用した費用である「創立費」と、会社設立後の開業準備段階でかかった費用である「開業費」です。

「費」と付くので費用科目だと捉えてしまいそうですが、創立費と開業費は費用科目ではありません。
内容的には費用処理される分類ですが、その支出による効果が将来にわたって継続されるものであるため、繰延資産として資産計上を行う必要があります。

資産計上された繰延資産は、償却処理を行うことで費用として計上されます。
会計上は、繰延資産である創立費と開業費は5年間にわたって均等に償却処理します。

しかしながら、税務上は償却処理が任意とされています。
言い換えれば、自由なタイミングで自由な金額を費用化することができるため、利益が出たタイミングで償却処理を行えば節税が可能となるのです。
では、そもそも創立費や開業費にはどのような費用が含まれ、どのような費用が含まれないのかを見ていきましょう。

創立費に含まれる費用

  • 会社設立登記に必要な登録免許税
  • 会社設立手続きのために支払った仕業への報酬費用
  • 印鑑作成費用
  • 創立総会の費用
  • 株式、株式申込証、目論見書の印刷費用
  • 証券会社などの金融機関の取扱手数料
  • 設立前の社員への給料
  • 株主を募集するための広告費費用
  • 定款やその他の規則を制作するための費用
  • 会社設立準備に要した交通費用、会議費用
  • 発起人への報酬費用
  • その他創立のために必要な費用

創立費は、設立準備段階から設立日までにかかる費用であり、その期間は通常1カ月とされています。

しかし、その理由に根拠は無く明文規定も存在しないため期間を気にすることなく、支出した費用を創立費として問題ないと言えます。

開業費に含まれる費用

  • 開業のためのチラシ、HP等広告制作費用
  • 名刺作成費用
  • 開業前の研修費用
  • 市場調査にかかる費用
  • 挨拶回りなどの交際費
  • その他、開業準備のために特別に支出する費用

開業費は、創立費とは異なり開業のためだけに特別にかかった費用のみとされています。

また、開業のために支出した費用であれば期間の制限なく開業費として計上することができます。

ただし、常識的な範囲内で開業費として見做すことのできる費用に限ります。

創立費、開業費に含まれないもの

  • 10万円以上の固定資産(パソコン、車両、土地、建物など)
  • 経常的な支出(水道光熱費、賃料、人件費など)
  • 販売目的で購入した商品や材料の仕入代金
  • 後に返還される敷金、保証金など

10万円以上の固定資産については、減価償却資産として資産計上します。

経常的な支出は、会社設立前のものであっても、1期目の事業年度において経費処理することができます。

 

会計処理の方法

×1年4月1日に会社を設立した場合の具体的な会計処理方法を見ていきましょう。

設立日前の×1年3月10日に会社の印鑑作成費用として50,000円、登録免許税として150,000円を支払った。

×1年4月1日の仕訳   創立費 200,000円 / 現金 200,000円
会計処理(記帳)は設立日から行われます。

創立費のような設立前に発生する費用については、エクセルなどを使用して簡単に集計し、領収書や請求書の保存も行いましょう。

集計後の合計金額を設立日に創立費として計上します。

×1年4月1日に開業広告制作費用として300,000円を支払った。
×1年4月1日の仕訳   開業費 300,000円 / 現金 300,000円

×2年3月31日決算時において創立費を50,000円、開業費を100,000円償却した。
×2年3月31日の仕訳   創立費償却 50,000円 / 創立費 50,000円
              開業費償却 100,000円 / 開業費 100,000円

今回の場合、未償却残高の創立費150,000円と開業費の200,000円は次期以降に繰り延べられ、利益が出たときの節税対策として温存することができます。

 

まとめ

会社設立前の支出であっても、創立費や開業費として資産計上後に費用化することができます。

また、費用化のタイミングや金額は自由に決定できるため、利益が出たときの節税対策として活用したい方法の一つです。
ただし、節税対策として非常に有効である反面、税務調査で狙われる論点でもあります。

手当たり次第、開業費や創立費として計上していると不正会計と見做されてしまう可能性があります。税務署に証明することが難しい費用には注意が必要です。
このように、創立費や開業費を十分に理解し、正しく処理をして得をしましょう。

 

最後に

ご一読いただきありがとうございます。

会社の設立準備や開業準備に向けて、多忙な毎日をお送りのことと存じます。

費用の分類や税務署対策など、お困りの際はぜひALBA税理士法人にご連絡ください。全力でサポートいたします。

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