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2025/7/2

協調融資とは?創業融資として活用するメリット・デメリットを解説

創業期の経営者にとって、資金調達は常に頭を悩ませる大きな課題ですよね。そんな時、一つの金融機関だけに頼るのではなく、複数の機関が連携してサポートしてくれる「協調融資」という選択肢があることをご存知でしょうか?

今回は、創業期の協調融資について、その仕組みからメリット・デメリット、具体的な活用パターンを解説していきます。

資金調達の選択肢を広げる「協調融資」

協調融資とは

「事業を始めたばかりで運転資金の確保が急務だ」「成長のチャンスなのに設備投資の資金が少し足りない…」。創業期には、こうした資金面の悩みが尽きないものです。そんな時、一つの選択肢として知っておきたいのが「協調融資」です。

これは、あなたの資金計画に対して、日本政策金融公庫(日本公庫)と民間の金融機関が協力して融資を行う仕組みを指します。例えば、「どうしても導入したい最新の機械があるけれど、全額は難しい…」といった場合に資金を分担したり、事業が軌道に乗るまでの運転資金を一緒に支援したりと、あなたの「あと少し、ここを乗り越えたい」という状況に合わせて、柔軟に対応してくれるのが特徴です。

協調融資の効果

身近な民間金融機関は、日々の細やかな相談に応じてくれたり、手形貸付や当座貸越といった機動的な資金調達手段を提供してくれるものです。一方、日本公庫は全国にネットワークを持ち、特に創業支援や新しい分野への挑戦といった政策的な融資に強みがあります。

協調融資では、これら両者の強みをいわば「いいとこ取り」できる仕組みです。これにより、資金調達の選択肢を増やし、より安定した事業運営を目指せるようになります。

さらに重要なのは、公庫と民間金融機関があなたの事業の特色や課題を共有する点です。これは単にお金が手に入るだけでなく、経営課題の解決に役立つ情報や、思わぬビジネスチャンスにつながるサポートが得られる可能性も広がります。

 

創業融資として協調融資を受けるメリット

希望額の融資を受けられる可能性が高くなる

「この設備には、これだけの資金が…」「運転資金は、これくらいは欲しい」。必要な資金額は明確でも、融資審査で希望通りになるとは限りません。

協調融資では、日本政策金融公庫と民間金融機関のそれぞれの強みを活かし、単独では難しかった金額でも、あなたが本当に必要とする資金を調達できる可能性が高まります。まさに「あと一歩」を後押ししてくれるイメージです。

リスクヘッジとなる

複数の金融機関が関わることで、一つの審査基準で厳しくても、別の金融機関があなたの事業の将来性を評価してくれるかもしれません。審査の目が複数になることで、融資機会が広がり、「一つの窓口でダメなら終わり」という事態を避けやすくなります。

将来的な資金調達の幅が広がる可能性もある

協調融資をきっかけに、公庫と民間金融機関、両方と取引を始めることは、将来への布石です。信頼関係を築けば、追加融資の相談がスムーズになったり、より良い条件の融資を提案されたりする可能性もあります。「あの時、協調融資を選んで良かった」と、後々感じるかもしれません。複数の金融機関との繋がりは、事業成長を支える心強いネットワークになるでしょう。

創業融資として協調融資を受けるデメリット・注意点

複数の金融機関に対する情報収集や対策が必要

日本政策金融公庫と民間金融機関、それぞれの特徴を掴み、対策を練る必要があります。同じ事業計画でも、A銀行とB信用金庫では響くポイントが違うかもしれません。それぞれの窓口で的確に伝え、書類を準備する作業は、想像以上に手間がかかることもあります。

複数の目で事業を見てもらえるのは安心ですが、それはあなたが各金融機関の「ツボ」を理解し、しっかり準備してこそ効果が発揮されます。一つの金融機関への対応だけでも大変なのに、それが二つ、三つと増えるわけですから、時間と労力はそれなりにかかると想定しておきましょう。

協調融資は時間がかかる傾向

複数の金融機関が連携して審査するため、それぞれの内部手続きや情報共有に、どうしても時間がかかります。「何月何日までに資金が必須!」という状況なら、協調融資が本当に間に合うのか、他の選択肢も視野に入れつつ、慎重に検討することが大切です。

協調融資のパターン

1.日本政策金融公庫と民間の金融機関(保証協会付き融資)

公庫が直接融資し、民間金融機関は「信用保証協会の保証」を得て融資します。民間金融機関のリスクが減るため、あなたも比較的融資を受けやすくなります。

2.民間の金融機関の保証協会付き融資とプロパー融資

一つの民間金融機関が、「保証協会付き融資」と、金融機関が直接リスクを取る「プロパー融資」を組み合わせて提供します。金融機関はリスクを抑えつつ、あなたの大きな資金ニーズに応えようとします。ただし、プロパー融資の分、審査は厳しくなります。

3.民間の金融機関のプロパー融資メインバンクとサブバンク

メインバンクA銀行とサブバンクB信用金庫、双方があなたにプロパー融資を行う形です。大きな金額を調達できる可能性がありますが、関わる金融機関すべてが直接リスクを負うため、あなたの会社の信用力や将来性が複数の金融機関から「太鼓判」を押されるレベルでないと難しい、最もハードルの高いパターンです。

各融資について下記記事でも紹介しております。

ぜひご覧ください。

初めてでも安心!個人事業主で融資を受けるためには知っておきたい基本と審査のポイント

 

まとめ

協調融資は、創業期の資金調達において、希望額の確保、リスクヘッジ、そして将来的な関係構築といった多くのメリットをもたらす可能性があります。一方で、準備の手間や審査期間の長さを考慮した検討が必要です。もし具体的な検討を進める場合は、早めに金融機関や専門家に相談し、情報収集を始めることをお勧めします。ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。

投稿者プロフィール

林 大樹(はやし ひろき)
林 大樹(はやし ひろき)
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。