お知らせ

INFORMATION

2025/6/23

税務調査で追徴課税!?払えない時の猶予制度と事例紹介

「税金の申告、本当にこれで大丈夫かな…?」
これまで大きな問題がなくても、ふとそんな不安を感じることはありませんか。もし税務調査で申告内容に誤りが見つかれば、追加で税金を納める必要が出てきます。この「追徴課税」、実は状況によっていくつかの種類に分かれます。それぞれどんなケースで発生するのか、具体的に見ていきましょう。

追徴課税とは?どんな種類がある?

過去の税務申告に誤りや漏れがあった場合、本来納めるべき税額に加えて課されるのが「追徴課税」です。

この追徴課税には、状況によっていくつかの種類があります。

1.不足税額:シンプルに「足りなかった税金」

申告した税額が本来納めるべき額より少なかった場合の、まさにその「差額」です。例えば、「思ったより利益が出ていたのに、いつもの感覚で経費を計上してしまった…」そんな時、本来70万円のところ50万円しか納めていなければ、20万円が不足税額となります。

2.延滞税:納付が遅れたことへの「ペナルティとしての利息」

「しまった、納税の締め切りを過ぎてしまった!」という場合に発生するのが延滞税です。納期限に間に合わなかった日数に応じて、利息のように計算されます。日割りで計算されるので、気づいたらすぐに納付することが大切です。

3.利子税:特別な猶予期間にかかる「利息」

こちらは少し特殊で、例えば災害などの影響で、税務署に申請し納税の猶予(延納など)を認めてもらった場合に、その猶予期間に対してかかる利息のようなものです。事前に認められた期間にかかる点がポイントですね。

4.過少申告加算税:「申告額が少なかった」ことへのペナルティ

「この経費、認められると思ったんだけどな…」といった計算ミスや解釈の違いで、本来より少ない税額で申告してしまった。そんな場合に課されるのが過少申告加算税です。不足税額にプラスして支払うことになります。
ただし、税務署から指摘される前に「あっ、間違えてた!」と自分で気づいて修正申告し、納税すれば、この加算税はかからないケースがほとんどです。早めの対応が肝心ですね。

5.無申告加算税:「申告自体をしなかった」ことへのペナルティ

「忙しくて、つい申告期限を…」あるいは「開業したばかりで、申告が必要だと気づかなかった…」など、そもそも期限までに申告書を提出しなかった場合に課されます。
こちらも納めるべき税額に応じて計算されますが、税務署から連絡が来る前に自主的に申告すれば、税率が軽減されることもあります。

6.不納付加算税:源泉徴収した税金の「納付漏れ」へのペナルティ

従業員の方の給与や、外部の専門家への報酬から天引きした源泉所得税。これを期限までに納付しなかった場合に、不納付加算税がかかります。「預かっているお金」ですから、会社のお金とは別にしっかり管理し、忘れずに納めたいものです。

7.重加算税:悪質なケースに対する「最も重いペナルティ」

加算税が発生するケースの中でも、「意図的に税金を少なくしようとした」「事実を隠した」など、特に悪質だと判断された場合に課される、最も重いペナルティです。
例えば、売上をわざと隠したり、架空の経費を計上したりした場合などがこれにあたります。「これくらいならバレないだろう…」は通用しません。重加算税には、原則として軽減措置はなく、他の加算税よりもずっと高い税率が課されます。

「まさか自分が…」税務調査で追徴課税、どんなケースがある?

税務調査で追徴課税が発生する可能性は、これまで問題がなかったとしても常に存在します。事業の状況変化や取引の複雑化に伴い、意図せずとも誤りが生じるリスクは否定できません。

実際に追徴課税が発生しやすい事例を把握することは、事前の対策や注意点を知る上で有益です。

うっかり?それとも…「申告漏れ」に要注意

申告すべき所得や売上が計上されていない状態が「申告漏れ」であり、税務調査で指摘される代表的なケースです。

【具体例】

  • 計算ミス、記帳時の誤り。
  • 売上計上時期の誤り(期ズレ)。
  • 事業用資産から生じた個人的収入の未計上。
  • インターネット取引(副業、シェアリングサービス等)による収益の未申告。

これらは所得税・法人税だけでなく、消費税など他の税目でも起こり得ます。

「これは経費?」説明できない支出は「使途不明金」に

計上した経費の正当性や事業関連性を税務調査で十分に説明できない、または証拠資料が不足している場合、「使途不明金」として経費否認されることがあります。

【指摘例】

  • 個人的な飲食費の接待交際費計上。
  • 私的旅行費の出張旅費計上。
  • 個人的購入物の備品・消耗品費計上。

支出内容の明確化と証拠書類の適切な保管が重要です。

「バレないと思った…」は通用しない「無申告」

税務申告自体を行わない「無申告」も、税務調査で発覚すれば追徴課税の対象です。

税務署は様々な情報源とシステムで無申告者を把握可能です。「申告しなければ発覚しない」という考えは誤りです。

これらの「申告漏れ」、「使途不明金(経費否認)」、「無申告」が判明した場合、先に解説した本税の不足額に加えて、状況に応じた延滞税や加算税(過少申告加算税、無申告加算税、悪質なケースでは重加算税など)が課されることになります。

税務調査で追徴課税が払えない場合はどうなる?

税務調査で想定外の追徴課税が発生し、支払いが難しい場合の具体的な流れを解説します。

追徴課税の支払いを免れることはできない

税務調査で追徴課税が確定した場合、その支払い義務は非常に重く、原則として回避できません。具体的にどのような流れになるのか見ていきましょう。

期限までに納付がない場合、その状態は「滞納」と見なされます。税務署からは督促状が送付され、それでも納付がない場合は財産調査が行われ、最終的に「催告書」が発行されます。この段階を過ぎると、財産の「差し押さえ」手続きが開始されるリスクが高まります。

差し押さえの対象となる財産は、

  • 給与、預貯金
  • 売掛金、有価証券などの金融資産
  • 土地、建物といった不動産
  • 自動車、貴金属などの動産

など、多岐にわたります。

不動産や動産は公売によって処分されることもあり、その場合、市場価格より低い価額での売却となる可能性も考慮しなければなりません。
さらに既に説明した「延滞税」も滞納期間に応じて加算され続けるため、支払い総額は時間経過と共に増加していくという事実です。

追徴課税は自己破産しても免責にならない?

「自己破産すれば、他の債務と一緒に税金も整理できるのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、税金に関しては一般的な債務とは扱いが異なります。

結論として、自己破産手続きを経ても、追徴課税を含む税金の支払い義務は免除されません。
消費者金融からの借入金などは自己破産によって免責(支払い義務の消滅)の対象となることがありますが、税金は「非免責債権」として扱われ、支払い義務が存続します(破産法第253条第1項)。

つまり、自己破産によっても税金の支払いからは逃れられないのです。
加えて、自己破産後は一定期間、新たな借入れやクレジットカードの作成が困難になる(いわゆるブラックリスト状態)という制約が生じます。この制約下においても追徴課税の支払いは継続するため、経済的な負担はより一層厳しくなる可能性があります。

したがって、追徴課税の通知を受けた際は、状況を軽視せず、早期に専門家へ相談するなど、適切な対応を検討することが極めて重要です。

もし一括で払えない…そんな時の「納税猶予制度」とは?

追徴課税の通知を受け、一括での支払いが困難な場合、大きな不安が生じるかもしれません。原則一括納付ですが、救済措置として「納税猶予制度」があります。これは一定の要件下で納税の猶予や分割納付を可能にするものです。

差し押さえを待ってもらう「換価の猶予」

「換価の猶予」は、納期限を過ぎた税金について、財産の差し押さえや売却(換価)を一時的に待ってもらう制度です。

【主な要件】

  • 一括納付による事業継続・生活維持の困難
  • 納税への誠実な意思
  • 他の国税の滞納なし
  • 納期限から6ヶ月以内の申請(厳守)
  • 原則、担保提供(不要な場合あり)

承認されると、原則1年以内で差し押さえ等が猶予されます。

納税そのものを待ってもらう「納税の猶予」

「納税の猶予」は、災害や病気、事業の著しい損失など予期せぬ事情で納税が困難な場合に、国税の納付自体を一定期間待ってもらう制度です。

【主な要件】

  • 特定の事由(災害、病気、事業損失、1年以上経過後の税額確定等)に該当
  • 上記事由による一時的な納付困難
  • 申請書の提出(税額確定が遅れた場合はその納期限まで)
  • 原則、担保提供

承認されると、原則1年以内で納税が猶予されます。

まとめ

追徴課税の種類、支払えない場合の対処法、そして発生しやすい事例について解説してきました。税務は複雑に感じるかもしれませんが、正しい知識を持つことが重要です。「知らなかった」では済まされない事態を避けるため、疑問点は早めに専門家へ相談するなど主体的な対応を心がけましょう。
ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。

投稿者プロフィール

林 大樹(はやし ひろき)
林 大樹(はやし ひろき)
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。