2025/5/4
借金があっても起業できる?創業融資を受けられるのか解説!
「いつか自分の事業を立ち上げたい!」そんな想いはありますか?
ただ、個人的な借金があったり、そもそも起業資金をどう用意すればいいのかという不安で、「本当に自分にできるのかな?」と立ち止まってしまう方もいるかもしれません。
起業には運転資金や設備資金など、まとまったお金がどうしても必要になります。その資金調達の方法として、多くの方が最初に考えるのが「創業融資」です。そこで今回は、個人的な借金がある状態でも、本当に起業できるのか? や、資金の目処を立てるにあたって「創業融資」ってどうなの?という疑問について回答いたします。

目次
借金があっても創業融資は受けられる?
結論から言うと、借金があるからといって、創業融資を「絶対に受けられない」というわけではありません。
ただ、審査で借金が全く影響しないかというとそうではありません。どう影響するのか、そしてどうすれば可能性を開けるのか、具体的に見ていきましょう。
融資のプロはあなたの借金をこう見る
金融機関が融資を決める時、必ずチェックするのがあなたの「信用情報」です。これは、あなたがこれまでローンやクレジットカードをどう使ってきたか、きちんと返してきたかなどが記録された、いわば「あなたのお金の成績表」のようなもの。
CICやJICCといった信用情報機関に問い合わせれば、あなたが今いくら借りているか、過去に返済を延滞したり、債務整理(俗にいうブラックリスト)をしたりしていないか、すべて分かってしまうんです。借入額が多かったり、返済が遅れていたりすると、「お金を返す能力はあるのかな?」と金融機関は当然心配になります。審査で不利になる可能性は高まるでしょう。特に、消費者金融からの借入が多かったり、複数のカードローンを抱えていたりすると、「お金の使い方が少し荒いかも?」という見方をされやすい傾向があります。
逆に、住宅ローンや車のローンなど、生活に必要な借入で、しかも遅れることなくキッチリ返済を続けている場合は、比較的マイナスに見られにくいことが多いです。大切なのは、借金の「種類」や「金額」だけではありません。「ちゃんと返せているか」というこれまでの行動、そしてあなたの経済状況全体とのバランスが、審査では非常に重要視されるのです。
借金があっても融資成功の可能性を高めるには?
1.「この事業、成功しそう!」と思わせる事業計画
あなたのサービスや商品がどこがユニークで誰に求められているのか、市場での見込みも含めて具体的に記載してください。売上や利益の予測については、絵に描いた餅ではなく、ちゃんとした数字の根拠を示す必要があります。そして、借りるお金だけでなく、あなたの今の借金も事業で稼いだお金で無理なく返していける計画になっているかを厳しくチェックされます。
2.「私は本気です!」を示す自己資金
起業のためにこれまでコツコツと自分で貯めてきた自己資金の額は、あなたの熱意や計画性の証拠となります。一般的には、必要な資金の1/3くらい自己資金があると、評価はグッと高まります。
3.事業を動かす「あなたの経験とスキル」
これから始める事業の分野でどのような経験を積んできたのか、また経営やお金のこと、集客に関する知識があるのかを示します。
4.あなたの「借金との向き合い方」
今の借金について正直に隠さず話し、これまでの返済状況を明確にすることが重要です。さらに、事業開始後も個人の借金返済と事業の返済をどう両立させていくのか、現実的な道筋を示す必要があります。
これらの要素を総合的に見て、金融機関の担当者が「確かに個人的な借金はあるけれど、それ以上にこの事業には可能性があるし、この人ならちゃんと計画的に返していけそうだ!」と判断してくれたら、融資への道は開けるのです。
借金を隠して申し込むのは絶対にNG!
借金を隠し通すことはまず不可能です。もし嘘をついたことがバレてしまったら、金融機関からの信用はゼロになります。そして「この人、嘘をつくのか…」と判断され、融資はほぼ100%否決されます。それだけでなく、将来、他のローンを組みたいと思った時にも、「過去に虚偽申告した人」として情報が残ってしまう可能性すらあります。
審査の場では、今の借金状況を包み隠さず伝え、「こうやって返済を続けています」「事業の収益でこうやって両方返していきます」と、誠実に説明しましょう。隠すよりも、正直に向き合う姿勢こそが、金融機関の信頼を得る一番の方法です。
融資が通らない理由は借金だけじゃないんです
実は、借金以外にも審査に落ちる原因はたくさんあります。
- 「何をしたいか、よく分からない…」事業計画
具体的にどうやって稼ぐのか、あるいはターゲットとするお客さんが誰なのかが曖昧でフワッとしている場合は審査に通りにくいでしょう。また、市場の状況や競合について十分に調べていない場合や、売上や経費の予測が都合の良い楽観的な数字になっている場合も、計画の甘さと見なされます。 - 「これで大丈夫?」と心配になる自己資金の少なさ
事業に必要な資金に対して、自分で用意した自己資金が極端に少ないと、「本気でやる気があるのだろうか?」と懸念されてしまい、評価が下がることがあります。 - 「この人に任せて大丈夫?」という経験・スキル不足
事業の分野での経験が全くない場合や、経営やお金に関する知識が不足している場合も、事業を成功させる能力があるのか疑問視されます。 - 「面談、なんだか頼りなかったな…」という印象
面談で事業への情熱が面接官に伝わらなかったり、質問に対して自信なさげだったり話がブレたりするなど、「なんだか頼りなかったな…」という印象を与えてしまうと、評価が下がってしまう可能性があります。
もし融資がダメだった場合、「なぜダメだったんだろう?」と金融機関に(もし聞ける状況であれば)理由を聞いてみてください。それが、次に成功するための大切な改善点を見つけるヒントになります。

いわゆる「ブラックリスト」っていつになったら消えるの?
あなたの信用情報に「金融事故情報」が登録されてしまっている、これが一般的に「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。
では、「金融事故」とはどのような時に登録されてしまうのか?具体的には下記のケースが当てはまります。
- 借金の返済を長期間(目安は61日または3ヶ月以上)延滞した
- 自分で返せなくなり、保証会社などが代わりに返済した(代位弁済)
- 任意整理、個人再生、自己破産といった法的な債務整理をした
もし、あなたの信用情報にこの「金融事故情報」が載っていれば、創業融資の審査通過もかなり難しくなります。一般的には延滞を解消したり、債務整理の手続きが終わったり、問題が解決してから5年〜10年で信用情報からは削除されると言われています。
【信用情報機関ごとの目安】
- CIC(主にクレカ系):延滞解消・契約終了から5年
- JICC(主に消費者金融系):延滞解消から1年(ただし契約終了から5年以内)、契約終了・債務整理・自己破産情報は発生から5年
- KSC(主に銀行系):延滞解消・契約終了から5年、官報情報(自己破産など)は公告日から10年
ただし、これはあくまで目安で、どんな情報か、どの機関に登録されているかによっては期間が少し違うこともあります。確認するのに一番確実なのは、ご自身で信用情報を確認することです。各信用情報機関に情報開示請求すれば、郵送やインターネットで調べられます。
もし、調べてみて事故情報が残っていれば、焦って融資を申し込んでも良い結果は期待できません。そんな時は、情報が消えるまで「待つ」ことも、大切な戦略の一つです。その期間を無駄にするのではなく、自己資金をしっかり貯めたり、事業計画をもっと具体的に練り上げたりする時間にあてましょう。
起業後に借金が増えてしまう起業家の共通点
「なんとか起業できたけれど、事業がうまくいかず、結局借金だけが増えてしまった…」このようなケースは少なくありません。起業後に借金で苦しむ方には、いくつかの共通した傾向が見られます。
1.準備不足のまま会社を辞めてしまう
十分な準備がないまま会社を辞めると、安定収入が途絶え、事業が軌道に乗るまでの資金不足や、焦りからの不適切な判断リスクが高まります。これを避けるためには、副業からの開始や十分な自己資金準備、徹底した事業計画の策定が推奨されます。
2.事業計画や知識が不足している
漠然としたアイデアや市場調査不足、楽観的な予測は資金ショートを招きます。また、経営、財務、マーケティングといった知識の不足は、問題発生時の適切な対応を困難にします。事業計画は成功のための羅針盤であり、時間をかけて練り込み、必要に応じて専門家のアドバイスも活用してみてください。
3.資金管理がルーズで無駄遣いが多い
事業の収益につながらない無駄な支出や、事業資金と個人資金の区別をつけない公私混同は、資金をあっという間に枯渇させます。創業資金は事業成長の重要な資本であり、常にコスト意識を持ち、計画的な資金繰りを心がけることが不可欠です。
4.会社員的な考え方から抜け出せない
指示待ちやリスク回避、経営数字への意識の低さ、時間管理の甘さといった会社員的な考え方は、経営者としての主体性や責任感の発揮を妨げ、事業運営に支障が出ます。経営者には、自ら考え、決断し、行動し、結果に責任を負う覚悟が求められます。

まとめ
個人的な借金があっても、起業の夢を諦める必要はありません。創業融資を受ける可能性は十分にあります。
しかし、そのためには、ご自身の借金状況と信用情報を正確に把握することが第一歩です。その上で、金融機関には借金を隠さず、正直に誠実に状況を説明する姿勢が求められます。
重要なのは、実現可能で収益性の高い事業計画をしっかり練り上げることです。現在の借金返済と事業融資の返済を両立できる現実的な資金計画を示して、計画的な資金管理と堅実な事業運営を心がけることが必要だと思います。
ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。
投稿者プロフィール

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慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。
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