2025/5/3
創業計画書と事業計画書の違いとは?記入項目についてもご紹介
起業に向けて動き出すと、「創業計画書」や「事業計画書」という言葉を耳にするようになります。どちらも「計画書」と名前がついていることから、「あれ?同じものじゃないの?」と混乱してしまう方もいるかもしれません。
実は、この二つ、目的もタイミングも大きく違うんです。そこで今回は、創業計画書と事業計画書の違いから、それぞれの書き方、どこが見られるのか、をお伝えしていきます。
目次
創業計画書と事業計画書、何が違うの?
創業計画書ってどんなもの?
これは、これから事業を始めるあなたが一番最初に作る計画書です。例えば、日本政策金融公庫に「融資をお願いします!」と申し込むときには、ほぼ必ず提出します。
この段階では、あなたの会社にはまだ「実績」がありませんよね? だからこそ、計画書を通じて「私にはこの事業を成功させる力がありますよ!」「本気でやります!」というあなたの情熱や準備状況を伝えることが大切になるんです。
特に窓口の担当者さんが注目するのはこの2つです。
- あなたのこれまでの経験やスキル
- 事業のために自分で用意したお金(自己資金)はいくらか、どうやって集めたのか
つまり、創業計画書は「あなたの想いと準備」を見せるためのものと言えるでしょう。
事業計画書とはどんなもの?
こちらは、すでに事業をスタートさせている会社が、次のステップへ進むときや、もっと資金が必要になったり(追加融資)、大きな買い物をしたり(設備投資)するときに作るものです。ここで問われるのは「この事業はこれからどれだけ成長できるのか?」ということその根拠として、次のような具体的な情報が必要になります。
- これからの売上目標や、人をどれだけ雇うか、設備にいくら使うかといった計画
- これまでの会社の成績(損益計算書や貸借対照書などの財務諸表)
事業計画書は、あなたの「これまでの実績と、それに基づいた未来の戦略」を示すための資料なんです。

創業計画書・事業計画書には何をどう書けばいい?記入項目を見てみよう
では、それぞれの計画書には具体的にどんな項目があって、何をどう書けば良いのか見ていきましょう。
創業計画書の主な記入項目
創業の動機
「なぜ、この事業を始めようと思ったのか?」あなたの原点となる熱い想いや、これまでの経験から「これだ!」と思った背景など、あなたの「ストーリー」をここで語りましょう。
事業内容
「どんな商品やサービスで、誰のどんな困りごとを解決するのか?」他の似たようなサービスと比べて、何が違うのか(あなたの強み)も、具体的に説明します。
自己資金と調達方法
「事業を始めるのに、全部でいくら必要で、そのうち自分でいくら準備できたのか?」自己資金が多いほど、金融機関は「本気だな!」と感じてくれやすいものです。どうやってお金を集めたのかも正直に書きます。
売上・利益予測
「このくらい売れるはず!」という希望だけではNGです。「なぜそう考えられるのか」という根拠(例:ターゲット顧客数、客単価、競合の状況など)をしっかり示して、現実的な数字を予測しましょう。
将来的な展望
「この事業で3年後、5年後、どうなっていたいか?」単なる夢物語ではなく、そこへたどり着くための具体的なステップや、事業をどう成長させていくのかというビジョンを伝えます。
事業計画書の主な記入項目
事業の概要と目的
今やっている事業がどんなもので、どんな強みがあるのか、改めて整理して伝えます。
財務実績
ここが創業計画書との大きな違い。「これまでにどれだけ売り上げて、どれだけ利益が出たのか?」過去1〜3年分の会社の成績を数字で見せます。
市場分析・競合調査
あなたのビジネスがある市場は今どうなっていて、今後どうなりそうか。周りにはどんなライバルがいて、どうやって彼らと差をつけるのかを分析した結果を書きます。
将来の目標と戦略
「これからどうやって売上をもっと増やして、利益を大きくしていくのか?」具体的な目標(例:〇年後に売上〇円!)と、そのための具体的な方法(例:新しい販路を開拓する、〇〇に投資する)を詳しく説明します。
資金繰り・キャッシュフロー計画
「お金の流れは大丈夫そうか?」金融機関が最も気にするポイントの一つです。これからのお金の出入りを予測し、もし計画通りにいかなかった場合の備え(リスク対策)も示しておくと、安心感を与えられます。

融資担当者は計画書のココを見ている!評価ポイント
創業計画書で見られる3つのポイント
1.経営者の経験・スキル
「この人は、本当にこの事業で成功できる実力があるのかな?」あなたの職務経歴、業界経験、持っている資格、過去の成功体験などが「信頼できる人物か」を判断する材料になります。隠さずにアピールしましょう。たとえその業界が未経験でも、「なぜ自分ならできるのか(勉強したこと、人脈など)」を具体的に説明できれば大丈夫です。
2.自己資金と資金計画
「自分でどれだけリスクを背負って、本気でこの事業に取り組むつもりなのか?」自己資金の割合は、その本気度を測る指標の一つです。また、集めたお金を何に、いくら使うのか(資金の使い道)や、「いつまでにいくら返せます」という返済計画が具体的で現実的かどうかも、担当者は見ています。
3.事業への熱意と整合性
「なぜ、あえてこの事業を選んだのか?」「その動機と事業内容はちゃんと繋がっているか?」あなたの事業に対する情熱や、計画全体に矛盾がないかどうかも評価されます。
事業計画書は「実績」と「具体性」がカギ!
すでに事業を動かしている場合、評価の基準は「数字と、その数字に基づいた未来への道筋」になります。
- 「過去の売上や利益は、どういう流れで変化してきたのか?」
- 「その過去の成績から見て、これからどうやって成長させるつもりなのか?」
- 「『売上を伸ばす』って言うけど、具体的にどうやるの?(どんな販路を使う?誰に売る?)」
- 「設備投資で大きなお金を使うけど、いつまでに回収できて、もしダメだったらどうするの?」
例えば、「3年後に売上を2倍にします!」と書いただけでは、「本当にできるの?」と思われてしまいます。過去の実績が伸び悩んでいたなら、「なぜ伸び悩んだのか」を分析し、その課題をどう解決して2倍にするのか、具体的な方法やスケジュールを示す必要があります。
つまり、事業計画書で評価されるのは、「これまでの実績をしっかり踏まえ、それをどう未来につなげるのかを、具体的な数字や行動計画で説明できているか」なんです。ただの願望ではなく、数値の根拠をきちんと示し、「もしも」の場合のシナリオもいくつか考えておくと、より信頼感が増します。

まとめ
創業計画書も事業計画書も、あなたのビジネスを「見える化」して、応援してもらうための大切な書類です。
創業計画書は、事業を始める前の「自己紹介と決意表明」。あなたの情熱と準備状況を伝えるもの。
事業計画書は、事業が始まった後の「成績表と未来への戦略書」。実績に基づいた分析と、具体的な成長プランを示すもの。
この違いを理解して、それぞれの目的や聞かれていることに合わせて準備すれば、金融機関からの信頼を得やすく、資金調達もスムーズに進みやすくなります。
ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。
投稿者プロフィール

-
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。
最新の投稿
- 5月 8, 2025起業に必要なものとは?起業が成功する人の傾向(特徴)もご紹介!
- 5月 4, 2025借金があっても起業できる?創業融資を受けられるのか解説!
- 5月 3, 2025創業計画書と事業計画書の違いとは?記入項目についてもご紹介
- 5月 2, 2025株式会社の設立人数は1人から可能!設立に必要な役職についても解説!