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2025/5/2

株式会社の設立人数は1人から可能!設立に必要な役職についても解説!

「株式会社は1人でも設立できるのか?」

会社設立の手続きでは「発起人」「株主」「取締役」といった用語があります。
これらの役割を、もしあなたが1人で会社を設立する場合、どう考えればいいのか?
そして、1人での会社設立にはどんなメリットやデメリットがあるのか?
今回は、あなたが抱えるそんな疑問にお答えいたします。

株式会社の設立は1人からでも可能!

結論、あなたが1人でも株式会社を設立することは可能です。発起人、株主、取締役の全てを1人で兼任することができます。
以前の会社法では、会社を作るには取締役3名以上、監査役1名以上、そして取締役会の設置が義務付けられていたんです。しかし法律が変わり、これらの要件は緩和され、取締役1名で設立が可能となりました。取締役会や監査役をおくことも原則として「設置しなくてもいい」となっています。
ただし、いくつか例外があり、例えば取締役会を設置する場合は、取締役が3名以上必要になります。また、株式の譲渡制限がない「公開会社」にする場合は、取締役会と監査役(または監査等委員会か指名委員会等)の設置が義務付けられています。
取締役会を設置すると、株主総会の決議を経ずに取締役会で決定できる事項が増えるなどのメリットがあります。事業の規模や、将来どんな会社にしたいか、というビジョンに合わせて、最適な組織体制を考えてみてください。

会社設立人数が1人でも可能な法人形態は3つ!

あなた1人で設立できる会社の形は、株式会社だけではないんです。主に3つの選択肢があります。

1.株式会社

私たちが「会社」と聞いて、一番イメージしやすい形かもしれません。株式を発行して、広く資金を集めることができるのが特徴です。
設立に必要な役員は、取締役が1名から(取締役会を置かない場合)OKです。
出資した人(株主さん)は、会社の借金に対して、出資した金額までしか責任を負いません(これを「有限責任」といいます)。会社のオーナーとして、大切なことを決める権利(議決権)などを持っています。
「大きく事業を広げたい」「将来的には上場も視野に入れたい」という方に適しています。

2.合同会社

株式会社と比べて、設立にかかる費用を抑えやすく、手続きも比較的シンプルなのが魅力です。出資した人(社員さん)が、そのまま会社の業務を執行するのが基本で「会社のオーナー=経営者」が一般的です。合同会社の社員も、株式会社の株主と同じく、出資額の範囲内で有限責任を負うので安心です。
「設立費用を抑えたい」「自分自身で経営のすべてをコントロールしたい」といった方に向いています。

3.合名会社

会社のメンバー(社員さん)全員が「無限責任社員」という形をとります。
無限責任とは、もし会社が借金を返しきれなくなった場合、会社の財産だけでなく、社長個人の財産でも責任を負う、ということです。良く言えば、お互いの信頼関係が非常に強くないと成り立ちません。悪く言えば、事業のリスクがあなたの個人資産に直接影響する可能性が高い、ということです。「高い信頼関係で結ばれたメンバーだけで経営したい」「個人資産に影響が及ぶリスクを理解した上で、柔軟な経営を目指したい」といった、かなり限定的なケースで選ばれることが多いです。

合資会社の設立には2人以上必要

一方、「1人では設立できない」のが、合資会社です。合資会社を作るには、「無限責任社員」と「有限責任社員」が、それぞれ最低1名ずつ、合計2名以上必要です。つまり、あなたが1人で会社を作りたいなら、選べるのは先ほどご紹介した「株式会社」「合同会社」「合名会社」のどれかになります。

株式会社設立に必要な役職とは?

1人で会社を作るなら、あなたがこれらの役割を兼任することになります。それぞれの役割を簡単に見ていきましょう。

1.発起人

会社の「生みの親」であり、設立の「旗振り役」です。「会社の憲法」とも言える定款(ていかん)を作ったり、設立に必要な手続きをしたり、まさに会社誕生のために汗をかく人です。会社設立時にお金を出資して、会社の株主になります。

2.株主

会社にお金を出資して、会社の「オーナー」になる人です。株主総会で会社の重要なことを決める権利(議決権)を持ったり、会社の利益を受け取ったりできます。あなたが1人で会社を作るなら、あなた自身が全額を出資することになります。 そうすれば、あなたが唯一の株主さんです。

3.役員

株式会社を動かしていく「経営者」です。最低でも取締役が1人いなくてはいけません。
もちろん、あなたが1人で設立するなら、先ほどの「発起人」「株主」であるあなた自身が、「取締役」も兼任できます。取締役は、株主さんから会社の経営を任され、日々の業務を執行します。取締役が1人だけの場合、通常、その人が会社を代表する「代表取締役」になります。(これは定款で定めることで決まります。)

4.従業員

従業員は、会社と雇用契約を結んで働く人のこと(正社員、パート・アルバイトなど)です。株式会社設立時に最初から従業員が「必須」ということはありません。まずはあなた1人で始めてみて、事業が軌道に乗ってきたら、必要に応じて仲間を雇うことを考える、という進め方も一般的です。

株式会社を1人で設立するメリット・デメリットとは?

1人で会社を始めるのは、魅力もたくさんありますが、もちろん大変なこともあります。どんな良い点、難しい点があるのかを見ていきましょう。

メリット

1.意思決定がめちゃくちゃ早い!

あなたが「これをやろう!」と思ったら、誰かに相談したり、会議を開いたりする手間は一切不要です。まさに、社長の「こうしたい!」がすぐに形になる、フットワークの軽い経営が実現できます。

2.人件費や採用コストがかからない

従業員がいなければ、毎月発生する給料や社会保険料といった固定費がかかりません。
求人広告を出したり、面接をしたり、といった採用にかかる時間やお金もゼロです。
特に、事業を始めたばかりの頃は売上が不安定になりがちですから、こういった固定費がないのは大きな安心材料になるでしょう。

3.利益率を高めやすい

固定費が少ないということは、売上から経費を引いた「会社の利益」が残りやすいということ。たとえ規模が小さくても、効率良く回せば、大きな会社に負けない高い利益率を目指すことも夢ではありません。

デメリット

1.「本当に大丈夫?」と信用されにくいかもしれない

個人事業主よりは信用度が高いのは確かですが、社員をたくさん抱えている大きな会社と比べると、取引先や銀行からは「本当にこの事業は長く続くかな?」「社長1人で大丈夫かな?」と慎重に見られる可能性もゼロではありません。

2.事業を大きくしにくい

1人でできることには物理的な限界があります。事業がどんどん大きくなっても、あなた一人では手が回らなくなり、「もっとできたはずなのに…」と成長のチャンスを逃してしまう、なんてことにもなりかねません。

3.孤独な経営判断と相談相手不在

会社の進む道を1人で決めなければならないのは、プレッシャーも大きいですよね。一人だと、どうしても考えが偏ってしまったり、「これで本当に大丈夫かな?」と不安になったりすることもあるでしょう。困った時に「ちょっと聞いてよ!」「これってどう思う?」と気軽に相談できる相手が社内にいないのは、精神的に大変に感じるかもしれません。

まとめ

株式会社は、発起人・株主・取締役を1人で兼任して設立することが可能です。1人での設立には、スピーディーな意思決定やコスト削減といったメリットがありますが、社会的信用の壁や事業拡大の難しさ、そして何より孤独といったデメリットも理解しておくことが大切です。あなたのやりたい事業や、将来どんな会社にしたいか、じっくり考えてみてください。株式会社だけでなく、合同会社といった選択肢もあなたのビジネスには合っているかもしれません。
もし「自分一人で考えるのはちょっと不安だな…」と感じたら、司法書士や税理士といった専門家に相談してみるのも良い方法です。ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。

 

投稿者プロフィール

林 大樹(はやし ひろき)
林 大樹(はやし ひろき)
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。