2025/4/27
会社の代表者とは誰を指す?会社設立を検討中の方へ解説!
- 会社設立の準備において、事業内容や資本金と並び、「代表者」を誰にするかは検討事項の一つです。
金融機関での口座開設、融資申請、契約締結、行政手続きなど、会社の意思決定や対外的な手続きには代表者の関与が必要です。特に複数人で起業する際は、代表者の選定について事前に十分な協議が必要です。
そこで今回の記事では、以下の点を解説します。
代表者の役割 - 複数代表者の可否
- 単独代表と複数代表のメリット・デメリット
目次
会社の代表者とは誰を指すの?
一般的に使われる「社長」は、法律で定められた名称ではなく、会社内部での役職名です。法律上の会社の代表者には、以下のような役割と名称があります。
発起人
会社の設立手続きを行う人であり、設立時の出資者でもあります。会社設立後は株主となりますが、必ずしも設立後の会社の代表者(代表取締役など)になるわけではありません。経営の代表者となるには、別途選任手続きが必要です。
代表取締役
株式会社の取締役の中から選ばれる代表者です。取締役は株主総会で選任され、代表取締役はその中から選定されます。代表取締役は会社の業務執行や契約締結などを行い、会社法に基づく正式な役職です。一般的に使われる「社長」という役職名とは必ずしも一致しません。
代表社員
合同会社の代表者を指します。合同会社における「社員」とは、従業員のことではなく、出資者であり、かつ業務執行権を持つ人のことです。代表社員は、この「社員」の中から選ばれます。そのため、代表社員は必ず会社の出資者である必要があります。

会社設立時に「代表取締役」は複数人いても良いの?
会社法上、代表取締役を複数人置くことは可能です。
例えば、技術担当のAさんと営業担当のBさん、二人で創業した場合、それぞれの責任範囲を明確にしつつ、二人とも代表取締役として名を連ねる、といったことも可能です。一人に責任や権限が集中することを避けたい場合など、この仕組みが有効な場合があります。
ただし、次の点が留意点として挙げられます。
- 取締役会を設置していない会社の場合
定款で代表取締役を定めなかったり、選任しなかったりすると、取締役全員が各自会社を代表する(=代表取締役となる)ことになります(会社法第349条1項本文、2項)。この状態が意図した運営体制か検討が必要です。 - 選任資格
代表取締役は、取締役の中から選ばれなければなりません。取締役ではない者が代表取締役に就任することはできません。

会社設立時に代表者を1人にする場合と複数人にする場合のメリット・デメリットとは
会社設立にあたり、代表者を1人にするか複数人にするかは、今後の会社運営に関わる検討事項です。それぞれの形態におけるメリット・デメリットを整理します。
代表者を1人にする場合のメリットとデメリット
メリット:迅速な意思決定
代表者が1人の場合、合意形成プロセスが不要なため、経営判断をスピーディーに行えます。特にスタートアップ期や変化の激しい市場環境では、競合他社に先んじて事業機会を捉えるなど、トップの即断即決が会社の成長を左右する場面も少なくありません。自身の判断で事業をダイレクトに進めやすい点は、大きな推進力となり得ます。
デメリット:責任・負担の集中
経営に関する全ての責任と判断が代表者1人に集中します。資金繰りの判断、重要な契約の締結、従業員に関する問題など重要な意思決定に直面した際、精神的な負担や判断のプレッシャーが大きくなる可能性があります。
代表者を複数人にする場合のメリットとデメリット
メリット:相談・分担による慎重な判断と負担軽減
複数の代表者がいる場合、経営上の重要な判断について相談し、多角的な視点から検討することができます。互いの知識や経験を持ち寄り、リスクを多面的に評価することで、より慎重な意思決定が可能になります。また、「Aさんは開発、Bさんは営業」のように得意分野に応じて責任や業務を分担することで、一人あたりの負担を軽減し、効率的な組織運営を目指せます。困難な時期に精神的に支え合える仲間がいることも、現場では大きな力となります。
デメリット:意思決定の遅延と意見対立の可能性
何かを決定する際には、代表者間での協議や合意形成が必要となります。そのため、全員の意見調整に時間がかかり、結果として市場の好機を逃してしまう、あるいは対応が後手に回ってしまう可能性があります。また、事業の方向性、投資の優先順位、権限の範囲などをめぐり、最初は同じ方向を向いていたはずの代表者間で意見が対立し、建設的な議論を超えて関係が悪化したり、経営が停滞したりするリスクも現場では起こりえます。

まとめ
代表者は、会社の設立登記や契約など実務面での責任を担うだけでなく、社内外からの信頼にも関わる重要な存在です。1人にするか複数にするかは、経営スタイルや意思決定の方針、創業メンバーとの関係性などに応じて検討することが求められます。
こうした判断は、会社の将来にも関わる部分であり、制度面だけでなく実際の運営も見据えて考えることが大切です。専門家に相談しながら進めることで、状況に応じた適切な体制を整える助けになることもあります。
ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。
投稿者プロフィール

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慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。
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