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2025/4/26

合同会社の維持費はどれくらい?株式会社との違いもご紹介!

法人を設立する場合、次に株式会社と合同会社のどちらの形態を選ぶかという選択肢があります。
それぞれの違い、特に設立費用や維持費は分かりにくく、どちらが自身の事業に適しているか判断が難しいことがあります。この記事では、株式会社と合同会社の基本的な違いを整理し、特に合同会社の維持費に焦点を当てて解説します。

そもそも株式会社と合同会社の違いとは?

株式会社とは?

株式会社は、株主から出資を受けて設立される一般的な会社形態です。株主は出資額以上の責任を負わない「有限責任」という特徴があります。この有限責任により、比較的資金を集めやすく、将来的な事業拡大や外部からの資金調達を検討している場合に適しています。また、株式会社は社会的な信用度が高いとされています。株主総会の開催や決算公告など、法律で定められた運営ルールがあるため、取引先や金融機関からの信頼を得やすい傾向があるのです。

一方で、設立時の費用や手間がかかるほか、設立後も決算公告などの維持コストが発生します。これらのコストは、事業計画において考慮する必要があります。

合同会社とは?

合同会社は、株式会社と比較して設立・運営の自由度が高い会社形態です。原則として出資者が経営者(社員)となり、利益配分は出資額に関わらず、社員間で自由に決定できます。
主なメリットとして、設立費用が株式会社より安く、決算公告の義務がない点が挙げられます。また、株主総会も不要なため、運営の手間やコストを抑えられます。意思決定は社員の合意により迅速に行えるため、柔軟な経営が可能です。初期コストを抑えたい場合や、スモールスタートに適しています。

一方、デメリットとしては、株式会社に比べて社会的な知名度が低い場合があり、取引等において信用面で配慮が必要になる可能性があります。また、株式発行による広範な資金調達は基本的にできません。そのため、大規模な資金調達による事業拡大を計画している場合は、この点が制約となる可能性があります。合同会社は、初期コストを抑え、柔軟な経営を目指す場合に適した選択肢の一つです。

株式会社と合同会社のそれぞれかかる設立費用は?


ここでは、株式会社と合同会社、それぞれの設立時にどれくらいの費用がかかるのか、具体的な項目を見ていきましょう。


株式会社の設立費用

株式会社の設立に必要な主な費用は以下の通りです。合同会社と比較すると高くなる傾向があります。

  • 登録免許税
    最低15万円(資本金の額によりますが、多くの場合この最低額が適用されます。)
  • 定款印紙代
    4万円(紙で定款を作成する場合。電子定款の場合は不要。)
  • 定款認証手数料
    約5万円(公証役場での認証が必要。合同会社にはこの手数料はありません。)

上記に加え、設立手続きを司法書士に依頼する場合、別途5万円から15万円程度の報酬が発生します(任意)。合計すると、自分で手続きを行う場合(電子定款利用時)は最低約20万円、司法書士に依頼する場合はさらに報酬分の費用がかかります。

合同会社の設立費用

合同会社の設立費用は、株式会社と比較して低く抑えられます。
主な費用は以下の通りです。

  • 登録免許税
    最低6万円(株式会社の最低15万円と比較して安価。)
  • 定款印紙代
    4万円(紙で定款を作成する場合。電子定款の場合は不要。)
  • 定款認証手数料
    不要(株式会社では約5万円必要。)

上記に加え、設立手続きを司法書士に依頼する場合、別途5万円から10万円程度の報酬が発生します(任意)。合計すると、自分で電子定款を利用して手続きを行う場合、設立費用は最低6万円程度となります。司法書士に依頼した場合でも、株式会社より費用を抑えられることが一般的です。株式会社と比較して初期費用を軽減できるため、その分を他の事業資金に充てることが可能です。

合同会社を維持していくための費用は?

法人住民税

法人を設立すると、利益の有無にかかわらず「法人住民税」の支払い義務が生じます。
法人税や法人事業税は、原則として利益(所得)に対して課税されるため赤字の場合は発生しませんが、法人住民税の一部である「均等割」は、会社の規模に応じて課税されるため、赤字決算でも納税が必要です。
資本金1,000万円以下かつ従業員数50人以下の会社の場合、均等割の額は多くの地域で年間約7万円が目安です。※自治体によっては条例でこれより高い税率(超過課税)を定めている場合があります。
このコストと、法人化による社会的信用の向上や経費計上の範囲拡大、節税策の活用といったメリットを比較検討することが重要です。

定款変更手続き費用

事業運営においては、定款に記載した事項(会社名、本店所在地、役員情報、資本金など)を変更する必要が生じる場合があります。定款記載事項を変更した場合、法務局での変更登記が必要となり、登録免許税が発生します。主な変更登記と登録免許税の例は以下の通りです。

  • 会社名(商号)の変更:3万円
  • 本店(主たる事務所)の移転:3万円(管轄外移転の場合は6万円)
  • 代表社員や業務執行社員の変更・住所変更:1万円(資本金1億円超の場合は3万円)
  • 資本金の増資:増加資本金額の1000分の7(最低3万円)

これらの費用は、事業計画において考慮しておく必要があります。また、変更登記手続きを司法書士に依頼する場合は、別途報酬が発生します。

税理士費用

税理士は、日々の記帳、決算申告、節税対策など、会社の経理・税務をサポートします。税法は複雑であり、改正も頻繁に行われるため、専門家である税理士に依頼することで、正確な処理と適切な節税が可能になります。税理士に依頼する場合の主な費用目安は以下の通りです。

  • 顧問料(月額)
    定期的な経営状況の確認や税務相談。小規模な会社で月額1万円~3万円程度。
  • 記帳代行料(月額)
    会計ソフトへの入力代行など。月額1万円程度から(自身で入力する場合は不要)。
  • 決算申告料(年額)
    決算書の作成と税務申告の代行。10万円~15万円程度。

これらの費用は発生しますが、税理士への依頼により、節税効果が得られたり、経理・税務業務の負担が軽減され、事業運営に集中できるというメリットがあります。費用対効果を考慮し、税理士の活用を検討することができます。

株式会社にだけかかる維持費用

合同会社と株式会社の維持費を比較すると、合同会社の方が低い傾向にあります。これは、株式会社には発生するものの、合同会社にはない特有のランニングコストが存在するためです。一般的な違いは以下が挙げられます。

  • 決算公告義務
    株式会社: 毎年の決算内容を官報などで公告する義務があり、一般的に年間6万円程度の掲載費用が発生します。
    合同会社: 公告義務がないため、この費用は発生しません。
  • 役員の重任登記費用
    株式会社: 取締役には任期があり、任期満了ごとに同じ人が続ける(重任)場合でも変更登記が必要です。これに登録免許税1万円(資本金1億円以下の場合)がかかります。
    合同会社: 役員の任期がないため、この登記手続きと費用は不要です。
  • 株主総会の開催費用
    株式会社: 年に一度、株主総会を開催する必要があります。複数の株主がいる場合、招集通知、会場手配、資料作成などの手間やコストがかかることがあります。
    合同会社: 株主総会という制度自体がないため、これらのコストは発生しません。

これらの株式会社特有のコストが不要である点は、合同会社の維持費を抑える要因となります。

まとめ

合同会社は、設立・運営コストを抑えやすく、意思決定が柔軟なため、事業立ち上げ時の法人形態として検討されることがあります。社員間での自由な取り決めや迅速な意思決定が可能です。将来、事業が拡大し、資金調達や対外的な信用力の向上が必要になった際には、株式会社へ組織変更することもできます。法人形態の選択は、事業の目的、規模、将来性を考慮して行うことが重要です。ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。当事務所があらゆる問題解決の窓口となり、ワンストップで解決いたします。経営に関する懸案事項をなんなりとご相談ください。

投稿者プロフィール

林 大樹(はやし ひろき)
林 大樹(はやし ひろき)
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。