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2025/3/17

税務調査は拒否できる?知っておくべき仕組みと賢い対策

「税務調査の連絡が来たら…、あなたはどうしますか?」
ある日突然、税務署から税務調査の連絡が来たら驚くのは当然です。
「うちの会社、大丈夫かな?」「何を聞かれるんだろう?」と不安になる経営者は多いでしょう。
特に、「税務調査を拒否できるのか?」「拒否したらどうなるのか?」は、多くの事業者が気になるポイントです。

この記事では、税務調査の基本から拒否した場合のリスク、事前にできる対策まで解説します。
不安を解消し、万が一に備えましょう!

税務調査とは?基礎知識を押さえておこう!

税務調査には2種類!違いを知っておこう!

「税務調査」と一言で言っても、実は2種類あることをご存じですか?
「任意調査」と「強制調査」の違いを理解することで、税務調査に対する漠然とした不安が和らぎます。

1.任意調査(一般的な税務調査)

ほとんどの税務調査はこの「任意調査」にあたります。
税務署から事前に連絡があり、「○月○日にお伺いしますので、ご都合を確認させてください」と調査日を調整する流れが一般的です。

2.強制調査(脱税が疑われるケース)

一方、「強制調査」は、重大な脱税の疑いがある場合に行われます。
国税局の査察部が、裁判所の令状を取得して行う調査で、事前通知なしで突然やってきます。

税務調査の流れ

税務調査がどのように進むのか、事前に把握しておきましょう。

①税務署からの事前連絡(任意調査の場合)

「○○税務署の△△です。○月○日に税務調査を実施したいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」と電話や書面で通知が来るのが一般的です。

②当日調査官が来訪し帳簿や証憑を確認

「この取引の契約書を見せてください」「この経費の内訳を説明できますか?」などの質問が入ることが多いでしょう。

③調査終了後、結果が通知される

問題なしなら終了となり、不備があれば修正申告や追徴課税の案内があります。

税務調査はどのくらい遡る?

「税務調査って、いったいどこまでさかのぼって調べられるのだろう…?」そんな疑問や不安を抱えた方は、きっと少なくないはずです。
通常は過去3年分ですが、不正行為が疑われる場合は最長7年分まで遡ることがあります。
例えば、意図的な売上の未申告や、架空の経費計上などが発覚すると、7年分を徹底的に調査される可能性がありますよ。

税務調査で問題になりやすいポイント
・売上の未計上(現金取引の抜け漏れ)
・経費の水増し(プライベートな支出を経費計上)
・架空の取引(実態のない取引を作り利益を圧縮)

税務調査で発生する追加の税金(加算税)

「税務調査を受けたら、追徴課税がかかるの?」と気になる方も多いでしょう。
実際、税務調査で問題が見つかった場合、納めるべき税金に加算税が上乗せされることがあります。

◎主な加算税の種類

1.過少申告加算税
申告漏れが見つかった場合に税額の10〜15%が課されます。

2.無申告加算税
申告そのものをしていなかった場合に税額の15〜20%が課されます。

3.不納付加算税
源泉所得税などを期限までに納めなかった場合に税額の10%が課されます。

4.重加算税
悪質な隠蔽や偽装があった場合に税額の35%〜40%が課されます。

税務署の調査が入る前に自主的に修正申告を行えば、加算税の一部が軽減されることもあります。
もし「税務調査が入りそう…?」と感じたら、税理士に早めに相談するのがおすすめですよ。

税務調査拒否は可能なの?拒否した場合にはリスクも!

「突然、税務署から税務調査の連絡が来た…!でも、これって拒否できるの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。

結論から言うと、税務調査の拒否は基本的にできません。
ただし調査の延期や日時の変更を申し出ることは可能です。
まずは、税務調査の種類ごとに拒否ができるのかどうかの解説を行いますね。

任意調査

「任意調査」と聞くと、自由に断れるように感じるかもしれません。
しかし、実際には「任意」=「協力が必須」という意味合いに近く、正当な理由がない限り拒否することはできないのです。

【日程変更が可能なケース3つ】

1.任意調査で日程調整をした場合
急な病気やどうしても外せない重要な業務など、正当な理由があって日程を変更せざるを得ない場合は、税務署との相談によって日程変更されるケースがあります。

2.書類の提示や提出拒否に正当な理由がある場合
火災や盗難、自然災害によって大切な書類が失われてしまった場合など、どうしても書類を提示できない正当な理由があるときは、税務調査の延期や中止が認められるケースがありますよ。

3.天災などやむを得ない場合
地震や台風といった大規模な自然災害で、そもそも調査が実施できない状況に陥った場合は、税務調査が延期または中止されることがあります。
*強制調査

強制捜査は通称「マルサ」と呼ばれる国税局査察部が裁判所の令状を取得したうえで実施するため、強制力があり拒否することはできないのです。

◎強制調査のポイント
・事前の通知はなく、突然の訪問が一般的
・調査官は「質問検査権」を持ち、納税者は質問に答える義務がある
・帳簿や書類の押収が可能(拒否すると処罰対象)

税務調査を拒否したらどうなる?

税務署職員には「質問検査権」という法的権限が与えられており、必要に応じて納税者に対して税務調査を行うことが認められています。
これはいわゆる「任意調査」と呼ばれますが、実際には国税通則法による罰則規定があるため、拒否は難しいのが実情です。

具体的には、国税通則法128条に下記のように定められています。

① 税務職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
② 税務職員要求に対して、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者

出典:e-GOV 法令検索 国税通則法 第百二十八条

このように、税務職員の調査を正当な理由なく拒否したり、嘘の答弁をしたり、帳簿や書類の提示を正当な理由なく拒むと、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処される可能性があります。
いくら「任意調査」とはいえ、法的に認められた調査権限を妨げる行為は厳しく罰せられるのです。

結局のところ、任意調査といっても拒否すれば罰則があるため、実質的にはほぼ強制と考えてよいでしょう。調査を受ける際はまず落ち着いて対応し、必要に応じて税理士などの専門家と相談することが重要です。

税務調査にどう対応すればいい?

「拒否できないなら、どうすればいいの?」
ここで重要なのは、「適切な対応」です。

①税務調査の連絡が来たら、まず税理士に相談
②調査官の質問には事実に基づいて誠実に対応
③提出書類は事前に整理しスムーズに対応できるよう準備
④納得できない指摘があれば税理士と相談しながら主張する

「税務調査は怖いもの」ではなく、「事前準備が大切なもの」と考えましょう。
税理士と連携して対応すれば、不要なトラブルを避けることができます。

税務調査を乗り切るための対策

「税務調査が来ると分かったら、何を準備すればいいの?」
「そもそも普段からどんな対策をしておけばいいの?」
そんな疑問に答える形で、税務調査に対する事前対策を3つご紹介しますね。

1.領収書・請求書は必ず保管し整理ルールを作る

税務調査では、領収書や請求書のチェックが必ず行われます。
「どこに何があるか分からない!」とならないよう、日付順・取引先ごとに整理しておきましょう。

また、紙の領収書をスキャンしてクラウド保存するのもおすすめです。
ただし電子データの書類にタイムスタンプが付いていない場合、そのデータが改ざんされていない証拠を示せず、原本として認められません。
電子帳簿保存法が導入される前に作成した書類などは、税務署に紙の原本の提示を求められる可能性もあります。

こうしたリスクを回避するためには、紙の書類をしっかり保管するとともに、電子帳簿保存法に詳しい税理士のアドバイスを受けて、社内のルールづくりを進めることが大切ですよ。

2.売上・経費の記録を正確に。特に現金取引は注意が必要

税務調査では「現金取引の抜け漏れ」が厳しくチェックされます。
現金売上は日次で記録し、経費の立替払いは領収書と紐づけるなどのルールを決めておくと安心です。
会計ソフトを使ってリアルタイムで記帳を管理すると、抜け漏れを防ぐことができますよ。

3.税理士と定期的に情報共有。「いざ」という時に備える

「税務調査が入るかも…」と感じたら、すぐ税理士に相談!
普段から税理士と連携していれば、修正申告の対応や税務署との交渉もスムーズになります。

税務調査拒否は可能なの?拒否した場合にはリスクも!

まとめ

突然の税務調査連絡に不安や戸惑いを感じる方は多いかもしれません。しかし、税務調査には「任意調査」と「強制調査」という2種類があり、内容や対応のポイントを理解しておけば、過度に恐れる必要はありません。

・任意調査の場合
正当な理由があれば日時の調整や延期が認められることがありますが、基本的には協力が求められます。

・強制調査の場合
脱税の疑いが強いケースで行われ、裁判所の令状により実施されるため、拒否はできません。

正当な理由なく税務調査を拒否すると、国税通則法に基づいて「懲役または罰金」が科される可能性があり、リスクが大きい点に注意が必要です。
こうしたリスクを回避するためにも、普段から正確な帳簿管理と書類の整理を心がけ、税理士との連携を強化しましょう!

ALBA税理士法人は静岡市にて、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士がタッグを組んだ総合事務所です。
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投稿者プロフィール

林 大樹(はやし ひろき)
林 大樹(はやし ひろき)
慶応義塾大学商学部卒
延べ100社以上の経営改善業務に従事。資金繰りに悩む多くの会社を支援する中で、会社の経営が傾く原因の共通点に気づく。 現在では、会社の経営が傾く前の予防策が大事だと考え、それをなるべく早い時期から伝えるため、会社設立を含めた起業家支援に注力している。